CHAPTER01
紙芝居から始まった神話ムービー
- 長嶋
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では、さっそく本題に入りましょう。
あのイントロムービーは、初めて『カルドセプト』に触れる方にもわかりやすく世界観を伝えるという、非常に大切な役割を担っています。
僕らもクリエイティブには相当力を入れたいと考えていたのですが、当初は「動画にする予定ではなかった」と記憶しています。
どんな経緯でUZZさんにお願いすることになったのか、前田さん覚えていますか?
- 前田
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そうですね。作品の世界観にマッチするイラストの方向性について社内で協議していたときに、UZZさんが描かれる非常に個性的で魅力的なイラストを目にする機会があったんです。
「ぜひこの方々に導入となる神話の紙芝居の絵を作っていただきたい」とお声がけしたのが始まりでした。
確か最初は、静止画の紙芝居企画だったと記憶しています。
- 長嶋
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そこから話がパンパンと進んでいって、「せっかくだから動画にしよう!」という運びになったわけですが、トムさん、この認識で合っていますか?
- トム
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はい、おおむねその認識です。
- 長嶋
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一番最初は、僕たちからUZZの皆さんに、「こんなことをやりたい、ここを大事にしたい」と、資料やラフをお見せしながら熱っぽく説明させていただきました。
その時の印象はいかがでしたか?
- トム
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長嶋さんと熱く語り合った記憶は鮮明にあります。
せっかくなので、当時の初期資料をお見せしてもいいですか?
- 長嶋
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ぜひお願いします。
- トム
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僕の手元にある一番古い資料がこれなのですが、今見返しても大変興味深い一枚です。
- トム
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まさに暗中模索、暗闇の中に手を伸ばすようなところから始まったシーンのコンテです。
長嶋さんから頂いたキーワードの中で、どうしても外せないなと思ったポイントがこの一画面に閉じ込められています。手が浮かび上がってきて、中央にほのかに暖かい明かりを包み込んでいるようなスタートなのですが、ここで語られたのが「カルドセプトとは石である」というお話でした。
カードゲームでありながら「石」であるという設定がめちゃくちゃ面白くて、僕の中に強く印象深く残ったんです。石というのは、石版のように古い記憶や歴史を閉じ込めるのに最適な媒体ですよね。
そこから「砕け散る表現」という映像的なアイデアが浮かびました。
紙のカードなら破れるだけですが、石なら美しく粉々に砕け散りますから。
その破片がちりぢりに飛び散っていく世界観が非常に美しいと感じて、「これは何としても描かねばならない」と思って引いたのが、この最初期の絵コンテです。
- 納口
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私の手元にある一番古いラフもお見せしますね。
- 前田
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おお、これですか!
- 納口
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トムさんのコンテとどちらが先だったか記憶が曖昧なのですが、長嶋さんから「不思議な古代の雰囲気。
ヨーロッパのようでもあり、南米のようでもある無国籍な感じ」というオーダーをいただいて、最初は結構迷いました。
初代『カルドセプト』のムービーなども横目で見つつ編み出したのがこのあたりのラフです。
- 長嶋
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いやあ、懐かしいですね! 石版が降り注ぐシーン。
- 納口
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そうです、そうです。こういう感じでした。
でもなんかそんなめちゃくちゃ変わったわけじゃないですね。なんか意外と初期の雰囲気が残りました。
- 前田
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あと、この頃から描いていただく絵にちょっとカルドセプトの神様やクリーチャーを意識していただいていましたよね。
- 納口
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あ、そうです。カルドラがここにいるっていう感じですかね。
- 長嶋
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せっかくなので、この絵がどういう構造になっているのか、美術設計を担当いただいた杉元さんから解説をいただけますか?
- 杉元
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はい、じゃあ私もラフをお見せしますね。
- 杉元
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ええと、最初に「紙芝居」と聞いていたのと、ネオスさんからリファレンスをいただいた時に、「これ、紙芝居のように手で一枚一枚めくっていくよりも、巻物状にして動かしていったら楽しいんじゃないかな」と思いついたんです。
それで、勝手に構造を考えて「こんな風にしたらどうだろう」という案を作ってみたのがこちらですね。
扉を開けたらメダリオンのところだけが見えていて、それをぐるぐると回すようなギミックを考えてみたり、メインとなる中央のデザインは色々変えてみてもいいのかなと思って、女神カルドラの頭の特徴的な角のイメージをラフで描いてみたりしました。
- 長嶋
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なるほど。うんうん、懐かしいですね。
- 杉元
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質感のリファレンスとしては、シャーマンドラム(太鼓)の皮の透け具合がとても綺麗だったので、「こういう素材感を活かしたら、映像としてもかなり印象的になるんじゃないか」と思って、当時は色々と資料を集めて検討していましたね。
- 納口
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ああ、そうだったんだ。
- トム
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そう、「紙」じゃなくて「羊の革」にするっていうね。
- 長嶋
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ここら辺は結構覚えていて、巻物をスクロールするというアイデアが一つ出てきて、そこから一気にイメージが膨らんでいったのを記憶しています。
僕からは、「後ろから光を照らして透かせないか」ということをお伝えしたんですよね。
あとは皆さんで、縦に動かすか、横に動かすかといった議論もされて、最終的に縦スクロールになったんですよね、きっと。
- 杉元
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そんな感じでしたね。
- 納口
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縦にするにしても、上に行くか下に行くか、どっちにしようかというのを結構話し合っていた記憶があります。
- 前田
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まさにこの装置の構造図が上がってきたあたりから、「これ、動画で流したら面白いかも!」となりましたよね。
- 長嶋
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たしかに!この構造図が出てきたのは、僕としてはすごくセンセーショナルで、「あ、これはUZZさんにお願いすべきものなんだな」と思ったのを強く覚えています。
ちなみに、ここに至るまでって、皆さんの中で結構作戦会議はされていたんですか?
- トム
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はい。まあ雑談交じりではありますけど、やっぱり各々が優秀なクリエイターでそれぞれ思っていることがあるので、それを突き合わせるような場は何度かあったと思います。
たとえば、先ほどの杉元さんが考えてくれた、この「ぐるぐるガジェット」のギミックが素晴らしいので、どういう風にガジェットが動くかを見せるようなものを作りたいと話を膨らませたり。
これも、よく見るとこの左上にハンドルがあったりして、ここを回すとどういう風に動くかといったことを、杉元さんの方ですごく細かく考えられていたんですよね。
- 杉元
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そうですね。ネジの構造なんかも、無駄に調べて考えていました(笑)。
- トム
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このあたりから、音の話とかも絡んできましたよね。
- 杉元
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そうそう、「ギリギリギリ」とか「カタカタ」とか、そういう音ですよね。
あと、絵を描くにあたって「これがどういう構造で回るのか」を調べていったら、単純にギアの形を平行にするだけじゃダメなんだ、ということが分かって。
- 納口
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うん、うん。
- 杉元
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それで、ギアの形を斜めにするといった工作チックなところまで入り込んで考えていました。
ただギアを細かく描きすぎると、今度は動画にした時に結局見えなくなってどうなんだろう、ということを考えたり。
「周りをぐるっと囲う形状にした方が、見えやすくなるんじゃないか」とか、色々と試していましたね。
あと、ハンドルがなぜ上に付いているのかという理由についても、横だと扉が開いた時に手が当たってしまうんじゃないかとか、結局見えなくなっちゃうんじゃないかとか。
そういうところを考えて、最終的に上にちょっとチラ見せするような配置に落ち着きました。
- 長嶋
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そもそもこれ、巻物が始まる前は、観音開きの扉が閉じていて、スタートと同時に開くという演出になっていたんですよね。
- 杉元
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はい。そうでした。
- 長嶋
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そこもどのタイミングで開くのがいいのか、とかね。
あとは音についても、この辺りからどんな音がするのかとか、回している時にどこかのパーツが連動して動いているはずだ、といったこともトムさんが熱く語られていましたね。
- トム
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きっと、何度も使っている道具でしょうし、何度もハンドルを回しているはずなんですよね。
素材も真鍮なので、使っていくうちに擦れやキズができると思うんです。
そういうディテールが画面や音に出ると、歴史観や深みが表現できていいなと思ったんです。
- 長嶋
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素晴らしい。
僕らから出させていただいた大きな宿題として、「今回作る世界というのは、西洋でも東洋でもない無国籍なんです」というお話をさせていただいたと思うんです。
ここに関するご苦労などはありましたか?
- トム
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そこはもう、納口さんのご苦労がかなりありましたね。
本当に、ここは相当ありました(笑)。手元には少ない資料しかなかったんですけど、色々と、本当に色々と叩きまして。
- 納口
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ありました。かなりありましたね(笑)。
- トム
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長嶋さんから「洋風じゃなくてほんのりアジアンテイストだ」というお話をいただいたのはめちゃくちゃ良いなと思っていて。
資料にも「基調となるのは金箔。ほんのりアジアンテイスト」と書いてありますけど、この和風なのかアジアンなのかという絶妙なラインを攻めた最初の「一画面」を作るのは、結構大変だった記憶があります。
- 納口
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そうですね。出来上がったムービーを見るとサラッと流れてしまってそうは見えないかもしれないのですが、あの独特な人間や神様のフォルムにするために、かなりの資料を読み込んだ記憶があります。
王道のギリシャ神話風とかにしてしまうと、ちょっとイメージと違う感じになってしまいますし、かといって南米そのものでもなかったんですよね。
- トム
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ええ、そうでしたね。
- 納口
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それで、「これじゃないかな」という要素を色々と混ぜ合わせることで、人間や神様の形をあの独特なフォルムに落とし込んでいった感じです。
- 長嶋
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それにしても、「あれ、求めていたものと違うな」というものが上がってきたことは本当に一度もなかったですね。
- 納口
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ありがとうございます。