CHAPTER03

グッズの役割は、
“作品世界を拡張する”
こと

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鈴木

いいじゃんでは、IPを広げるのがグッズの役割だと考えています。
ゲームという作品がまずあって、その周辺にグッズが生まれることで、お客様の愛着が深まったり、作品への理解が広がったりする。
私たちにとって、グッズは世界観を拡張するためのメディアなんです。
だから、単なるキャラクター商品ではなく、ゲームを遊んだあとも作品世界を思い出せるもの、あるいは誰かに見せたくなるものを作りたい。
社内でも、「誰かに見せたくなるものが、いいグッズだ」という考え方を共有しています。
たとえば、シャツやバッグを見た誰かが「それってカルドセプトのモチーフ?」と気づいてくれる。
そんな会話のきっかけになれば、それ自体がもう布教にもつながるんです。

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長嶋

他のIPと比べて、カルドセプトならではだった点はありますか。

鈴木

やはり“登場人物フォーカス一辺倒ではない”ところですね。
多くのIPでは、主人公とライバル、あるいは人気キャラを中心に企画を組みやすいんですが、カルドセプトはもっと世界の仕組みや空気感に魅力がある。
だからこそ、どの要素を立てるかを丁寧に考える必要がありました。
ぬいぐるみ一つ取ってもそうです。
最初は別の候補もあったのですが、長嶋さんとの議論の中で、最終的には「この作品を象徴する存在は誰か」という視点から選んでいきました。
そういう進め方は、かなり特徴的でしたね。

今回の中でも、特に印象的なアイテムの一つがダイスです。
CGベースの複雑な表現を、成形でどこまで再現できるかは最初かなり不安だったんですが、試作段階で想像以上に良いものが出てきました。
そこから角の処理や、内部の樹脂の発光感などを少しずつ詰めています。
最終版では、より美しく見える形に仕上がると思います。
可能であれば、フライのカードと一緒に箱に2個入れて、開けた時にちょっとした特別感があるような仕様にもしたいと考えています。
遊ぶ道具でありながら、眺めて楽しめるインテリアにもなる、そんな存在にしたいですね。

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長嶋

今回はこちらが細かく方向を指定するというより、鈴木さんのデザインを信頼してお任せする場面が多かったですよね。

鈴木

そう言っていただけるのは本当にありがたかったです。
監修というと、どうしても堅くなりがちな現場も多いのですが、今回は「それ、いいですね」と前向きに受け止めていただけることが多かった。
プロデューサーと直接対話しながらグッズを作っていけたのは、非常に良い体験でした。

そういえば一つ思い出しました。香港の空港で、急きょテレビ会議をつないでいただいて、松浦先生をご紹介いただいたことがあったんです。
その時、松浦先生とお話ししているうちに、「そうだ、この可愛いキャラクターたちもグッズにしなきゃ」と思いついて、急きょシャツのバリエーションも足しましたし、別のアイテムも作ることを決めたんです。

ただ、その後ちょっと面白いことがあって。
シルクスクリーンの4色分解プリントだと、ここまで先生のタッチが出ないな、と思い始めたんですよね。
それで急きょ、通常のシルクスクリーンではなくて、水彩画のような、ペイントのような質感を出すために、ガーメントプリンターを使うことにしたんです。
生地に直接インクジェットでプリントするような製法なんですけど、それで作ってみたところ、すごくきれいに発色が出たので、これは本当に良かったです。
うちは普段、白いシャツってあまりプロデュースしないんですよ。
男性向けだと、だいたい黒いシャツが定番なので。
でも今回は初めて、白いシャツでフルカラーに挑戦しました。 これは松浦先生の絵があってこそ成立した企画だったと思います。

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長嶋

ぬいぐるみだけは、少し苦労していましたよね。

鈴木

そうですね。
特に顔のバランスは難しくて、工場に絵だけで伝えるのには限界がありました。
そこでBlenderで簡単な立体を起こし、目や鼻の位置を調整しながら詰めていきました。
そこまでやってようやく「かわいい」と言えるラインが見えてきたので、完成版はかなり良くなると思っています。

あと、男性ユーザーにも使いやすいものとして、トートバッグはどうしても出したかったアイテムです。
外側はあえて主張を抑えつつ、内側にスペルカードの隠し柄を仕込んでいます。
持っている本人がニヤッとできるし、見せたくなった時にはちゃんと話のきっかけになる。そういう設計です。
さらに、このバッグには裏設定もあって、「バブラシュカ王家御用達のテーラーが作っているバッグ」というイメージで企画しています。
そういう物語まで含めてデザインできるのが、今回のおもしろさでした。

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長嶋

スペルカードについては、まだあまり発表していない部分もありますよね。

平木

はい。スペルカードは今回、ネオスのデザインチームで制作しています。
コンセプトとしては、「タロットカードのようでもあり、魔術書に描かれているようでもあるもの」を目指しました。
ただ、そこに至るまでがかなり大変でした。
まず、どの方向性にするかを決めるまでに大量のリファレンスを集めて検討しましたし、色の設計にもかなり時間をかけています。
外部にお願いする案もありましたが、最終的には自分たちで作ることにしました。

鈴木

ゲーム内演出もすごく良かったんです。
スペル発動時に白い線画がふわっと立ち上がるじゃないですか。
あれを見た時に、「これは商品意匠にも展開したい」と思いました。
グラスなどには、そうした演出の魅力も取り込んでいます。

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