CHAPTER07

こだわりが詰まった
「推しクリーチャー」

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長嶋

本作での、お二人のお気に入りのクリーチャーをぜひ教えてください。

神宮

まずひとつ挙げるなら、やっぱり『ドリアード』ですね。歴代でも好きなクリーチャーなのですが、今回の絵もすごく良くて。
可愛いですし、カードとしても好きですし、足元というか、木の根のような表現が入っているところも新しい感じがあって、今回もお気に入りの筆頭です。

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前田

ドリアード、可愛いですよね(笑)。

松浦

ありがとうございます。たしかに、これは可愛いですね。

神宮

ドリアード以外で言うと、『ケットシー』もかなり好きですね。
カードとしても好きなんですけど、今回の絵もすごくいいんです。
あの、ちょっとおしゃれな感じというか、すごく雰囲気があるんですよね。

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松浦

ケットシーに関しては、ラフが一案しか残っていないので、最初からかなりすっと形になったんだと思います。

長嶋

そうでしたね。
松浦さんの絵って、線画の段階ではまだ静かなんですけど、色が入った瞬間に一気にキャラクターとして立ち上がるんですよ。
そこが毎回見事でした。

長嶋

松浦さんご自身のお気に入りはどうでしょう。

松浦

どれもいいなとは思うんですけど、ひとつ挙げるなら『クラーケン』ですかね。
普通に考えると、クラーケンってタコやイカの怪物になりやすいじゃないですか。
でも今回は、そこにカニの要素も入れて、自分なりのクラーケンにできたのが良かったかなと思っています。

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神宮

たしかに、「こう来るか!」という感じはありましたね。
でも、原典や伝承を考えても、クラーケンが必ずしもイカやタコだけとは限らないですし、ああいう海産物的な要素を混ぜたデザインはすごく面白いと思いました。
それに、ハリーハウゼン作品に出てくるクラーケンなんかは、今の一般的なイメージともまた違いますしね。
そういう意味でも、デザインの自由さや面白さが出ていたと思います。

前田

現場では、そういう合体や変化球の入ったデザインは結構みんな印象に残っていましたね。
たとえば、別のクリーチャーでも、動物や昆虫の要素が混ざっているものがあって、「可愛い」「面白い」と盛り上がっていました。

長嶋

単に元ネタを再現するんじゃなくて、少しずらして、でも分かりやすい。
そのバランスが今回すごく良かったですよね。

松浦

完全に奇抜にしすぎると伝わらないし、逆に普通すぎると面白くない。
その間を探る感じはありました。

長嶋

僕自身がひとつ選ぶなら、やっぱり『ケンタウロス』ですね。
これは、従来のイメージから少し変えたい、という気持ちが最初からあったので、松浦さんがどう料理してくるのかすごく楽しみにしていたんです。
実際に上がってきたものを見て、「こう来たか!」と本当にうれしかったですね。今回の中でもかなりヒットでした。

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松浦

今見返しても、これはいいですね。
発想としては、ケンタウロス=人と馬の合体から入って、それなら騎馬民族っぽい方向に寄せても面白いなと思ったんです。
そこから、少しモンゴル軍のようなイメージが入って、この意匠になりました。

神宮

なるほど。それは面白いですね。

長嶋

まさにそこなんです。兵馬俑のようでもあるし、西洋一辺倒ではない。
今回ずっと合言葉のように「東洋でも西洋でもない感じ」を探っていた中で、このケンタウロスはまさにそのラインに来ていた気がします。
表情や空気感にも独特の味があって、本当にフィギュアにしたいと思うくらい好きです。
他にウォール系とかゴーレム系のモチーフもお好きでしたよね。

松浦

そうですね。ああいう、ちょっとゴーレムっぽいものは好きなんです。
ゼラチンウォール も、ゼリーみたいな質感と、レンガや壁のようなデザインがうまく混ざって、アイデアとしてうまくハマったなと思います。

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神宮

なるほど。たしかに、ちょっと美味しそうな感じまでありますよね(笑)。

長嶋

逆に、松浦さんが苦戦されたクリーチャーはありますか。

松浦

個人的には、女性キャラとか、かっこいいキャラですね。
そういうものは、あまり大きくアイデアを崩したり、遊ばせたりしにくいので、そこは苦戦したかもしれません。

前田

たとえば『ダンピール』とか、綺麗めのキャラですよね。

松浦

そうです。イケメンとか可愛い系、綺麗系のキャラは“崩せない”んです。
もちろん多少は崩しているんですけど、やっぱり自由度は下がりますね。

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長嶋

逆に、おじいちゃんみたいなキャラは描きやすいんですよね。
これ、絵描きあるあるだと思うんです。
漫画家さんでも、美形の主人公より、周囲の年配キャラを描いているほうが楽しそうに見えることがありますし。

松浦

やっぱり等身が高くて綺麗に見せないといけないキャラだと、このカードサイズの中でどう表現するか、いろいろ制約が出てきてしまうんです。
その点、癖のあるキャラや老人キャラのほうが、表情も形も遊ばせやすいんですよね。

神宮

サイズが限られているぶん、キャラごとの描きやすさってかなりありますよね。

長嶋

ダンピール系については、「このイメージで行きましょう」と、かなり具体的に振ってしまった覚えがあります。

松浦

そうですね。方向性はよく分かっていたんですが、それをこの小さな画面サイズの中でどう見せるかは、やっぱり難しかったです。
かっこよさを残しつつ、情報量を整理しないといけないので。

神宮

でも、結果としてすごくかっこよくまとまっていましたよね。

長嶋

ええ、本当に。ただ、この話を始めると一体ずつ延々語れてしまうので(笑)、そろそろ次の話題に進みましょうか。
本作で初めて登場する新キャラクターについて伺います。どのように神宮さんが選び、それに対して松浦さんがどう応えたのか。ご紹介いただけますか。

神宮

新キャラクターは大きく分けると、物語に関わる新キャラと、最後の調整段階で必要になって追加した、いわば能力面の穴埋めに近い新キャラの二種類がありました。

その中でも印象的なのは、終盤に追加した四属性ぶんの新しいキャラクターたちですね。
あれはかなり珍しく、こちらから指示書のようなものも用意して、松浦さんに見てもらったんです。
だから逆に、ああいうやり方はやりやすかったのか、それともやりにくかったのか、ちょっと聞いてみたかったんですよね。

松浦

はい。

神宮

たとえばアコライト系のような新しい系列では、「こんなイメージです」という参考資料や、場合によってはサンプルになる絵や写真も添えてお渡ししていました。
終盤は、戻しや修正のやり取りに時間を使いすぎるのも避けたかったので、普段よりは少し細かめに書いていた気がします。
この系列では、四属性それぞれに、弱いもの・強いもののような違いも持たせていました。
そのうえで、属性ごとのモチーフも割り振っていて、たとえば風属性は鳥っぽいもの、地属性は木や植物っぽいもの、火属性はトカゲっぽいもの、水属性は水生生物っぽいものという形で、描き分けの方向を考えてもらっていたんです。

だから、これを擬人化しつつ、さらに強弱の違いまで出すというのは、けっこう難しかったんじゃないかなと思っていました。

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前田

そもそも、このアコライト系列はどういう意図で入れられたんでしょうか。

神宮

初代の頃には、四属性に対応した魔法使い系のシリーズのようなものがあったんですが、その後はしばらく、そういう“対になるような系列”はあまり作っていなかったんです。今回は、物語との兼ね合いもあって、各属性に信徒のような存在がいたほうが、世界に深みが出るんじゃないかと思いました。
それに加えて、今回、各属性に新しい能力を少しずつ入れたいという意図もあって、その入門編のような存在として四つ並べた、という面もあります。

松浦

この系列に関してはほとんど悩まなかったですね。
かなりイメージしやすかったですし、特に迷いもなかったです。

神宮

そうだったんですか!
こちらからすると、たとえば「僧侶っぽい雰囲気で、しかも顔は鳥」というような、ややこしいモチーフの組み合わせにも見えたので、苦戦された部分もあるのかなと思っていました。

松浦

むしろ大好きな分野でしたね。だから、すごく楽しんで描けたと思います。

前田

仕上がったものを見ると、クリーチャーの枠に置いておくのがもったいないくらいなんですよね。
この四人でそのまま旅に出られそうな雰囲気がありました。