CHAPTER07

カードラインナップは
どう整理されていったのか

罫線
長嶋

神宮さんが選定されたカードラインナップについて、反対の意見もあったりしましたか。

春木場

いや、結構スムーズに決まっていたと思いますね。
今作の狙いたい方向は最初にお伝えしていたので、まずは6割くらいを、『たたき台』として決めていただいたのも大きかったですね。

長嶋

じゃあ、開発スタッフから『このカードは絶対入れてほしい』みたいなリクエストもなかったんですね。

神宮

…いや、それはありましたね(笑)。

一同

(笑)

神宮

最終段階でこちらからヒアリングして、そこまでのラインナップから漏れていたカードを復活させたものもありました。

長嶋

みんなの要望を神宮さんがうまく汲んでくれたんですね。

神宮

私が参加したことの一番の意義は、やっぱりカードリスト作成かもしれないですね。
カードリストを一から取捨選択して作ってください、となると、かなり悩むと思うんですよ。
そこを少しショートカットできたのは、よかったんじゃないかなという気はしています。

長嶋

あと、新カードについてですね。

神宮

新カードは物語的に『こういう一派が欲しい』みたいなイメージを最初にいただいていたので、そこから発想を広げていけました。
今回は本当の意味での『新能力』はないんですけど、ひとつ新しいキーワード能力があって、それを組み込んでシリーズとして特徴づけする、という流れができたので、そこも考えやすかったです。

長嶋

ちなみに、能力については、なくなったものや新たに加わったものもありますが、どういう意図があったんでしょうか。

神宮

やっぱり、ややこしそうなものはできるだけ排除しよう、という考えがありました。
大きいところで言うと、アイドル系と言われる『全体能力』を持つ系統のカードは、今回は全部カットしているんです。
やっぱり初心者には分かりづらいんですよね。
ゲーム中の挙動としても分かりづらいし、そもそもテキスト上で何を意味しているのかも伝わりにくい。
なので、そこは『今回はなくてもいいだろう』という判断で、外す形にしました。
カードラインナップとしては、セカンドベースではあるけれど、さらに『初心者向けに整理した形』だと受け取ってもらえるかなと思います。

一方で、領地能力みたいな要素は残しているんですよね。
あれは、やっぱりゲームのスパイスとしてあったほうがいいだろう、と思って残しています。

長嶋

ありがとうございます。
では、いったんカードの話から離れて、今度はマップやルート設計について伺っていきましょうか。
マップまわりで言うと、今作では無属性の土地がありませんよね。

神宮

あれは、たしか私のほうから提案したんだったと思います。
『リボルト』でもすでになくなっていたんですけど、無属性の土地って、言ってしまえば止まってもうれしくない土地の一つだったんですよね。
複属性の土地が『セカンド』で入ってから、より立ち位置が微妙になっていて。
一応、地形変化するコストは通常の土地より安いんですけど、置いたあとに地形効果がないので、すぐ取られやすいし、止まってもあまりうれしくない。
『これはなくてもいいだろう』と考えました。
その代わり、無属性土地の枠だったところを複属性土地に変えるくらいでいいんじゃないか、という感じでしたね。

山田

あと今回、神宮さんがおっしゃっていたのは、無属性のクリーチャーが、無属性の土地で恩恵を得られないのは、初心者には分かりづらいんじゃないか、ということでしたよね。

神宮

そうなんです。
『無属性と無属性なんだから合ってるじゃないか』と思う人もいるし、でも実際には『無属性だからこそ属性がないんだ』という説明をしなきゃいけない。
その説明をしなくて済む分、なくてもいいんじゃないか、という考えですね。

春木場

はい。かなりシンプルになりました。
一方で、今回はモーフ土地はありますよね。

遊佐

これはこちらからお願いした部分ではあるんですけど、確かに『初心者にはちょっと分かりづらい要素だよね』という話はありました。
ただ、使うと楽しいんですよね。
そこを汲んで、積極的に残してもらえた感じです。

山田

うちの社内でも、モーフ土地は結構人気だったんですよ。
分かると楽しい要素なんです。

春木場

ストーリー内でいきなりやるには、ちょっと慣れが必要な要素ではあるので。
ちゃんとカルドセプトのことが分かった上で触れると楽しいものだから、ストーリーではなく対戦には残しましょうという流れになりました。

長嶋

ありがとうございます。
ほかに、言い残したことはありませんか。
だいたい結構、編集も大変そうな量になってきましたが(笑)

神宮

じゃあ一つだけ。
カードのラインナップについて、言っておきたいことがあります。
今回は、あえて『弱いカード』を意識的に残しているんです。
なので、パッと見たときに『なんでこのカード、今回残ってるの?』と思う方もいるかもしれません。
でも、それにはちゃんと意味があります。
一つは、従来どおり序盤の敵セプターが使うカードとして、ある程度弱めのカードも必要だということ。
もう一つは、ブック構築をするときに、初心者プレイヤーにとっては『これとこれを比べたら、こっちの方が強そうだな』と分かりやすいほうが、構築しやすいんじゃないか、という考えがあったからです。

最近のスマホ向けカードゲームなんかを見ていて、この十年くらいの流れの中で、そういうことを思ったんですよね。
なので、ブックを作ろうと思ったときに、『これはさすがに入らないな』というカードが結構あるように見えるかもしれませんが、それはある程度意図して入れているものなんです。
もちろん、構築の中で『あ、強いカードを見つけた』という楽しさはあります。
ただ、最初の段階では、『引いたときにうれしい』『こっちの方が強そうだな』ということが、ぱっと分かりやすいほうがいいんじゃないか――それが今回、少し考え方を変えた点の一つでした。

長嶋

前作は、わりと『全部それなりに使える』方向に寄せていた感じもありましたよね。

神宮

そうですね。
たとえば『リボルト』では、メイスとかレザーアーマーみたいな、『明確に弱い立ち位置のカード』はカットしていました。
でも、全部が横並びに近いと、今度は『どっちがいいんだろう』と毎回迷うことにもなる。